ここがスゴいぞ紫式部『源氏物語』!”世界最古“以外にも世界が認めた誉れとは?【光る君へ】:2ページ目
大正時代にイギリス人が翻訳
では、『源氏物語』が世界中で読まれるようになったきっかけは何だったのでしょうか。実は、この作品を世界に向けて最初に紹介したのは日本人ではありませんでした。
それは1925年、大正14年のことです。イギリス人で東洋学者だったアーサー・ウェイリーが、『The Tale of Genji』というタイトルで英訳し、刊行したのでした。
ちなみに、このウェイリーが翻訳した分の第一巻が発表された次の年には、さっそく各国語に翻訳され、スウェーデン、スペイン、フランス、イタリアでも次々に出版されました(現在は32の言語に翻訳されています)。
このウェイリーによる翻訳は、世界中の文学者・歴史家に大きな衝撃を与えました。何より驚かれた点は、その長大さでした。何せ『源氏物語』は400字詰め原稿用紙換算枚数で2,400枚、文字数で言えば100万文字以上になります。
もちろん現代ならこれくらいのボリュームの長編小説はたくさんありますが、パソコンはおろか万年筆もなかった千年以上も昔の日本で、たった一人の女性が(この点については諸説ありますが)手書きで書き上げたのです。世界中の人々を驚嘆せしめたのも当然と言えるでしょう。