江戸時代の学者には意外と不評だった織田信長。その低評価の理由と現代との違いを探る:2ページ目
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庶民に人気だったのは豊臣秀吉
では、江戸時代の庶民の信長に対する評価はどのようなものだったのでしょうか。
江戸時代は信長を主軸においた作品は少なく、豊臣秀吉を主人公とした『太閤記』がブームになっていました。秀吉の方が人気だったのです。
特に多くの人々に読まれた作品の一つに『絵本太閤記』があります。江戸時代中期に出版された読本です。
この作品は人気が高く、同じ題材で人形浄瑠璃や歌舞伎も演じられたほどで、いずれも大好評を博しました。
ではこの『絵本太閤記』で信長はどのように描かれていたかというと、『甫庵信長記』のように信長の能力を評価しつつも、彼の徳のなさや狭量さが強調されていたようです。人形浄瑠璃では暴君のように描かれていたとも。
江戸時代の庶民もこれらの作品に慣れ親しんでいたことを考えると、おそらく儒学者のみならず一般的にも、信長に対するイメージは、やはりあまり好ましいものではなかったのでしょう。
歴史上の人物の評価も、時代によって大きく変わるから面白いですね。
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