「鎌倉殿の13人」よかったね、小四郎…第13回「幼なじみの絆」振り返り:3ページ目
敷かれたレールは行きたくない?三浦義村の憂鬱
「楽しいだろ、生きていて……何が起こるか分からない人生、うらやましいわ。」
「俺は当たり前のように家督を継いで、三浦の一族を率いていく。後はたまに女をからかって遊ぶぐらいが関の山だ」
日々目の前のことに追われる義時をうらやむ盟友・義村は、木曽にやって来ても、巴御前(演:秋元才加)に言い寄ります。まったく次から次へとよく飽きませんね。
「おめかしすれば、相当いい女子(おなご)だな」
義村「(巴御前の喉元に竹ひごを当てて)初恋の相手か」
巴御前「(竹ひごを払い、短刀を突きつける)斬り捨てられたいか」
義時「(義村が)申し訳ない。こいつは女を見るとちょっかいを出したくなるんです」
まぁ、ひとふた昔前に流行った「敷かれたレールを行くような人生は嫌だ」「でも、踏み出す勇気はないから女遊びで気晴らししているんだ」というキャラクター設定のようですね。
しかし平六(義村)殿。ただ総領の嫡男だからと言う理由で家督を継いで、あの三浦一族を率いていくのは並大抵の苦労ではありません。なんせ和田義盛(演:横田栄司)みたいなのがゴロゴロいるんですから。
また令和現代の視聴者にしても「レールを敷かれていることが、どれほどありがたいか」骨身に沁みている方は決して少なくないでしょう。
たとえレールから外れるにしても、その資産は間違いなく人生におけるアドバンテージとなります(活かすか否かは当人次第ですが)。
巴御前の「斬り捨てられたいか」ではありませんが、三浦の犬(一族)に食い殺されぬよう、ゆめゆめご油断遊ばされますな……と感じました。
まさに名言の宝庫!木曽義仲の堂々たる振る舞い
「源氏が一つになり平家を滅ぼす。これが俺の望みだ」
遠路はるばる信濃へやってきた義時たちを快活に出迎える義仲。酒を酌み交わし、釣ってきた魚を焼きながら談笑します。
「噂とは、流す者に都合よくできている。惑わされてはならん」
平家と通じていない証として人質を求めた義時は、行家を出すよう提案しますが……。
「叔父上は渡せん」
「どんな男かは関わりない。俺は自分を頼ってきた者を追い出すようなまねはできぬということだ」
第1回「大いなる小競り合い」で時政が頼朝を守り通すと決めた時に通じる東国武士の気概が感じられます。
では、誰を人質にするか……義仲は「息子でいい」と事もなげに言い出しました。
「男には、守らねばならぬものがある。義高でいい」
今は源氏同士が力を合わせるべき時。その大義のためであれば、大切に育て上げた息子の命さえ惜しまない。なかなか言えることではありません。
流石に何か交換条件を要求してくるかと思った義時たちに一言。
「何もいらん。これが、俺の誠(まこと)だ」
そんな父に応える嫡男の義高。人質になるという意味を百も承知で、迷いなく答えました。寸毫たりとも父を疑わぬその双眸が、実に美しく輝いています。
「父上のためなら、どんな苦労もいといませぬ」
「父を信じろ」「はい」
親子とは言え、わずか十年ほどの間にここまでの絆を培い上げた義仲。田舎者らしい粗野な振る舞いは見られるものの、大将の器(今後の伸びしろ)を充分に期待させてくれますね。