柿はときどき化けて出た!?俳句、保存食、そして妖怪まで…日本人と「柿」の深いつながり
「柿」は俳句でも定番の題材
皆さんは、「柿」の俳句というと何を思い出すでしょうか。私は柿が大好きなので、俳句に登場するとオッと思うのですが、やはり有名どころは正岡子規の「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」でしょうか。
話によると、この「柿」というのは夏目漱石のことだそうです。子規は、友人知人を食べ物に見立てる遊びをしており、それによると河東碧梧桐は大根なのだとか。
子規の作品では、他にも「柿落ちて犬吠ゆる奈良の横町かな」「温泉の町を取り巻く柿の小山哉」というのもあります。
これらはすべて「柿」を単体で使っていますが、実は古い季語で「柿博打」というのもあります。
柿博打とは、その名の通り柿を使った博打です。柿の実を割って、中の種の数が奇数か偶数か――つまり丁半で勝負を決めるもので、さすがにこんな賭け事をする人は今はいないでしょうから、季語としてあまり使われなくなったというのも頷けます。
ところで大御所の詠んだ俳句として、松尾芭蕉の「里ふりて柿の木もたぬ家もなし」というのもあります。
そういえば言われてみると、歴史のある農村ではほとんどの家で柿の木が植えられていますね。これはなぜなのでしょうか。