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身売り、遊女の悲哀…童謡「はないちもんめ」や「ずいずいずっころばし」に秘められた残酷な意味とは?

身売り、遊女の悲哀…童謡「はないちもんめ」や「ずいずいずっころばし」に秘められた残酷な意味とは?

「お茶壺道中」を歌ったものだった?

ただ、この歌がエロ歌であるというのはあくまでもひとつの解釈です。歌詞の由来については別の説も存在しています。江戸時代、京都の名産品・宇治茶を徳川将軍家に献上するために運ぶ行列について歌ったものだ、というものです。

江戸時代には、京都の名産品である「宇治茶」を徳川将軍家に献上するため、茶を詰めた茶壺を運ぶ行列が定期的に東海道や中山道を通っていました。これは1633年から幕末まで続いたそうです。

この「お茶壺道中」と呼ばれた一行は、大名行列と同じようにひどく威張っていました。街道筋の住民は土下座を強要され、もしも行列の前を横切ろうものなら手打ちは必至でした。

ですので、庶民は「茶壷が通ったら戸をぴしゃんと閉める」「父が呼んでも母が呼んでも外に出てはだめ」と戒められました。それが『ずいずいずっころばし』の歌詞なのだそうです。

これも、説明を聞くともっともな感じがしますね。ただこちらは「エロ歌説」と比べるとやや精密さに欠ける解釈で、歌詞の多くの部分の説明がつかないようです。

もちろん、どっちが本当なのかは分かりません。しかし仮に『ずいずいずっころばし』が遊女の歌なのだとすると、最初に挙げた『はないちもんめ』とは裏と表の関係にあると言えます。

明るくリズミカルな『ずいずいすっころばし』の裏には、人身売買と売春によって生きるしかなかった女性たちの悲哀と悲惨さが暗号のように表現されているのかも知れません。

参考資料
火田博文『本当は怖い日本のしきたり』(彩図社・2019年)

 

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