EV車(電気自動車)は70年前からあったんです!~戦後の「遺産」としての自動車開発小史~
「電気自動車」は今に始まったことじゃない!?
環境にも、お財布にも優しい自動車として、ハイブリッド車や電気自動車が脚光を浴びていますね。街中でも電気自動車がしずか~に音を立てずに走っているのを見かける機会が増えましたし、さまざまな施設で車の充電スタンドが建っていることも珍しくありません。
電気自動車なんてものが造られるなんて、自動車開発の技術はすごいな……と思うのですが、実は日本ではもっとずっと以前に電気自動車が造られていたのだと聞いたら、驚く人も多いのではないでしょうか。
しかもその「ずっと以前」というのは、70年前の終戦直後の時期なのです。ご紹介しましょう、それら電気自動車の代表格が、この「たま号」です。
私は別にクルマ愛好家ではないのですが、思わず「かわいい!」と興奮してしまいます。古いデザインなのですが、今見ると新鮮ですね。しかも名前が「たま号」ときています。案外、今造っても売れるのでは?と思います。
実は電気自動車の歴史は古く、19世紀末にはあったそうです。日本でも戦前に開発されていました。しかし終戦直後の電気自動車の開発は、時期が時期なだけにドラマ性に満ちています。
終戦後、占領された日本は物資も食料も石油もない状態でした。ただ唯一電気だけは余っていました。主流である水力発電所が山間部にあって戦災を免れていたのに加え、その電気を今まで使っていた大規模工場は破壊されていたからです。
家電製品もほとんど普及していない時代です。復興のために電気を活用しない手はない。そこで立ち上がったのが、元立川飛行場の航空機製造会社にいたエンジニアたちでした。彼らは東京電気自動車㈱を1947(昭和22)年に設立。さっそく同年に電気自動車を開発します。
それが「たま号」です。たま、という名前は会社の所在地にちなんだもの。当時開発されていた数ある電気自動車の中でも「たま号」は性能面で抜きんでていました。もちろん今の車と比べてはいけませんが、当時は高評価でした。