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美食家にもほどがある!奈良時代の最高権力者「長屋王(ながやおう)」は超絶グルメ

美食家にもほどがある!奈良時代の最高権力者「長屋王(ながやおう)」は超絶グルメ:2ページ目

現代にも通じる古代のグルメ、そして…

長屋王の贅沢ぶりは、もしかしたら突出した例なのかも知れません。しかしそれにしても、これが当時の豪奢さの一例だと考えると、天平貴族たちの食生活についてもイメージが拡がりますね。

古代日本の食生活……などと聞くと、私たちはどうしても「貧しい」食生活を思い浮かべてしまうのではないでしょうか。

確かに当時は、現代に比べれば食材の物流方法や保存方法も頼りないものだったでしょうし、調理法も限られていたでしょう。食べ方の選択肢は、今よりもずっと少なかったに違いありません。

その意味では、当時の食生活は今から見れば貧しかったと言えます。

しかし、長屋王の好んで食べていた上記の食材を見ると、令和の時代に生きる私たちも「チャンスがあれば通販で取り寄せて食べたい!」と思うものばかりです。

しかも当時のこういった食材は、保存方法に限界があった以上、すべて「旬のもの」だったはずで、これは羨ましい限りです。

その点を考えてみると、日本人がどんな食材を「美味しい」と感じるかは、古代も現代も大きな差はないように思われます。

現代に生きる私たちは、古代の人に比べればたくさんの美味しい食材やレシピを知っていますが、少なくとも長屋王や当時の貴族たちは、そのうちの大部分を既に知識として知っていたのですから。

ところで長屋王は、周知のように、国家反逆の罪に問われて天平元(729)年の「長屋王の変」で一族ともども自殺に追い込まれます。これは、当時最高の対抗勢力だった藤原氏による陰謀と見られています。

長屋王の生前の豪奢な暮らしぶりとその最期を比べると、『平家物語』の時代はまだまだ先だというのに「諸行無常」という言葉について考えずにはいられません。

参考資料
永山久夫『イラスト版たべもの日本史』(1998年・河出書房新社)
県民だより奈良 2013年2月号掲載『第15回奈良の歴史散歩』

 

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