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名前負けなど恐れるな!「アジアの巨人」頭山満少年の豪気な改名エピソード

名前負けなど恐れるな!「アジアの巨人」頭山満少年の豪気な改名エピソード

「名前負けなど恐れるな!」14歳で頭山「満」に改名

かくして八郎と改名した乙次郎ですが、14歳となった慶応4年(1868年)、母方の実家である頭山家を継ぐこととなります。

「これを機に、俺は満と改名する!」

日ごろ崇敬していた太宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)から一文字授かったのですが、これについて苦言を呈する者がありました。

「八郎さん、また改名するそうだが『満』はやめておいた方がいい」

「なぜだ?」

「月も満ちれば必ず欠ける……何でも完璧すぎるものはすでに衰運を兆しておるから、もう少し謙虚な、あるいは若者らしく昇り調子な名前を選んだ方がよかろう」

なるほど、もっともな考えではありますが、それで納得して従うような性格だったら、元より「満」などと改名しません。

「ははは……俺が名前負けするような弱虫だと思うのか。もし仮に名前負けするようだったら、そんなヘタレはさっさとくたばった方が、面倒も少なくていいじゃないか」

と呵々大笑。自分の可能性を微塵たりとも疑っていない、実に豪気で痛快な態度でした。

「はぁ、さいで……」

呆れる者は放っておき、晴れて頭山満となってからは腐敗した明治政府との闘争(いわゆる士族叛乱)に身を投じ、やがて自由民権運動や(当時、欧米列強の植民地となっていた)アジア解放運動に発展していきます。

「弱き(アジア)を助けて強き(欧米列強)をくじく」

鎮西八郎から受け継いだ志を天下に満たすべく、横暴な権力を相手に闘い続けた頭山満は昭和19年(1944年)10月5日、89歳の生涯に幕を下ろしました。

名前負けしないよう、最初から慎ましい名前をつけるのも日本人らしい奥ゆかしさではありますが、あえて立派な名前をつけて、それに負けないよう精進する心意気も、現代日本人には必要に思えてなりません。

※参考文献:
小林よしのり『ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論 第二部 愛国志士、決起ス』小学館、2015年12月
頭山満『頭山満言志録』書肆心水、2006年2月

 

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