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戦国時代、いかなる権力にも屈せず火炎の中に没した気骨の禅僧・快川紹喜の生涯 【その1】

戦国時代、いかなる権力にも屈せず火炎の中に没した気骨の禅僧・快川紹喜の生涯 【その1】:2ページ目

僧侶・児童など100人超えの人々を囲み火を放つ織田軍

恵林寺の敵対行為に激怒した信長は信忠に命じ、恵林寺の僧侶をはじめ還俗、児童まで100人を超える人々を山門楼上に追いやり、兵で囲みます。

そのうえで、山門の周囲に枯れ草を積み上げ、無情にも火を放ったのです。

足元から立ち上る黒煙は、やがて真っ赤な炎となって、楼内の人々を襲いました。

充満する煙と、身を焦がす炎。灼熱の火炎から逃げ惑う人々の断末魔の声で、楼上内は阿鼻叫喚を極めました。

快川国師、恵林寺山門楼上にて火炎に没す

そのとき、炎の中で悠然と座した一人の高僧の声が響きわたります。

「安禅必ずしも山水を須(もち)ひず 心頭滅却せば火も自づと涼し」

この高僧こそ、恵林寺の住持・快川紹喜(かいせんじょうき)でした。

快川は、弟子たちに山門から脱出することを指示した後、逃げも隠れもせず楼上に残った人々とともに、毅然とした様子で燃え盛る火炎の中に没したといわれています。

その生涯は、いかなる権力にも屈せず、自分の信念を貫き通す剛毅なものでした。

【その2】に続く……

 

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