せんば山のタヌキの正体は徳川家康!?童唄「あんたがたどこさ」にまつわる異説を紹介:2ページ目
「あんたがた」はどこから来たの?
まず、「あんたがたどこさ」の歌詞をおさらいしてみましょう。
「あんたがたどこさ 肥後さ 肥後どこさ 熊本さ 熊本どこさ せんばさ せんば山には狸がおってさ それを猟師が鉄砲でうってさ 煮てさ 焼いてさ 食ってさ それを木の葉でちょっとかぶせ」
※Wikisourceより。
異説によれば、この唄は肥後や熊本について言及していながら、歌詞が関東方言であることを指摘。
そして唄に登場する「せんば山」という地名は、武蔵国川越藩(現:埼玉県川越市)にある仙波山(仙波古墳群一帯の別称)だと言うのです。
もしそうだと仮定するなら、この唄は何を意味し、どんな風景を描写しているのでしょうか。
歌詞を見る限り、複数名による問答形式の会話であることが推測されます。
甲「あんたたちは、どこから来たのさ?」
乙「肥後国から来たのさ」
甲「肥後ってどこさ?」
乙「熊本のことさ」
甲「ふーん。熊本のどこさ?」
乙「『せんば』から来たのさ」
このやりとりで、甲は地元住民、乙は肥後国(あるいは熊本県)の「せんば」から来た、いわば「よそ者」であることが判ります。
つまり、唄の舞台は少なくとも肥後国の話ではなく(肥後の住民が「肥後ってどこさ?」と訊くのは、いささか不自然に過ぎます)、遠い他国……ちょうど関東あたりの話だったのかも知れません。