十二単だけではない。小袿、細長、壺装束…平安時代の女性の装束あれこれ:3ページ目
上流階級の女性の外出着「壺装束」
壺装束(つぼしょうぞく)は、平安時代から鎌倉時代の身分の高い女性が外出するときの服装です。市女笠(いちめがさ)という、つばの広い笠をかぶり、そこに虫垂衣(むしのたれぎぬ)と呼ばれるという麻や苧麻(ちょま)でできた薄い布を垂らします。当時の高貴な女性は室内でも顔をさらしてはいけなかったくらいですから、外出時も被り物が必要だったのです。
また裾を引きずる長さの衣装では動きにくいため、外を歩く時には着物の裾を端折って短く着付け、その際に結った長い髪の毛を単と袿の間に入れ、邪魔にならないようにすることもありました。
とは言っても、当時の身分の高い女性たちが実際にこの壺装束で外出するのは、一生に数回程度だったと言われています。
平安時代の文学作品に触れる機会があったら、登場人物たちの服装にも、ぜひ注目してみてくださいね。