十二単だけではない。小袿、細長、壺装束…平安時代の女性の装束あれこれ:2ページ目
高貴な女性の準正装「小袿」
小袿(こうちぎ、こうちき)は、身分の高い女性たちが日常用または準正装として着用していた、十二単の略装にあたる服装です。十二単と同じように長袴・単・五衣(いつつぎぬ)・表衣(うわぎ)という順番で重ね、同じ形で身丈が短い小袿を着用します。
画像出典:小学館
平安時代を代表する物語や日記などには、晴れの場で女官たちが十二単の正装をしているときでも、その主人である中宮・皇后などの高貴な女性は準正装の小袿を着ている描写がよく出てきます。
唐衣と裳がひと続きになった「細長」
細長(ほそなが)は平安時代中期頃に、身分の高い若い女性の衣装として着用されていた装束です。
身幅が狭くて裾が長く、「唐衣」と「裳」がひと続きになったような形状で、袿や表衣の上に重ねるものだったと言われています。残念ながら鎌倉時代には廃れてしまいました。
『源氏物語』の「若菜」の巻には、源氏の晩年迎えた若い正妻・女三宮が「桜の細長」を着用して立っているところを、柏木に覗き見られてしまうシーンが登場しています。女三宮はこの当時21〜22歳ですので、若々しさが感じられる装いだったことでしょう。