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師匠の偉大な功績に感謝しよう 谷中の圓朝まつり

師匠の偉大な功績に感謝しよう 谷中の圓朝まつり

毎年八月に東京下町の谷中で開かれている「圓朝まつり」。

あの怪談「牡丹灯篭」を作った明治の落語家「三遊亭圓朝」を偲ぶお祭りで、お墓のある谷中の全生庵で、幽霊画の展示や奉納落語、落語家さんたちによる屋台などが出るイベントです。

圓朝さんという人は人情話や怪談を得意とした人で、まあ「大圓朝」と呼ばれるくらいのエラーい落語家さんです。「大」がつくくらいなので、落語界では別格の存在。三遊亭一派だけでなく、「落語の中興の祖」というべき人物です。

しかしそれ以上に日本の歴史の中でも偉大な存在で、私たちもかなり感謝しなくてはいけない人だったりします。

なにしろ圓朝さんという人は、書き言葉と話し言葉、別々の言葉を使っていた日本語を、同じ言葉に統一してくれた人なんです。この功績はスゴイ。

それまでは「こっちを向いてよ」と口で言っていても、書く時にはなぜか「こちむき給へ(たまへ)」と書いていました。書き言葉が話し言葉の進化についていってなくて、いつまでも時代遅れの言葉を明治の最初ごろまでずーっと使っていたのです。

当時この流行遅れの日本語で小説を書いていた樋口一葉も、「なんで私はこんな訳のわからない言葉で小説を書かなくちゃいけないんだっ」って、訳の分からない文語体で書いています。

明治になって欧米から速記の技術が入り、圓朝さんは自分が高座で話す落語を速記して、それを文字に起こして新聞に掲載しました。それまでは話し言葉を活字にすることは珍しかったので、小説家たちが影響を受け、あっという間に話し言葉で文章を書くことが一般化していったんです。

「キタ━━━━ヽ(・∀・` )ノ━━━━!!!!」って表情と奇声までが文字化できるようになったのも、平たく言えば圓朝師匠のお陰なんですね。

圓朝さんの命日の8月11日には法要の後に、奉納落語会も開催されます。もし圓朝さんにちょっと感謝したいという人は、境内にあるお墓も訪れて見て下さい。

圓朝まつり(幽霊画コレクションの一般公開) 8月31日まで

奉納落語 芸人屋台 8月5日(日) 谷中防災広場(全生庵裏)

圓朝法要 奉納落語 8月11日(土)

圓朝寄席 8月18日(土)

(社)落語協会

 

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