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大河『べらぼう』二度目の「おさらばえ」…瀬川(小芝風花)と鳥山検校(市原隼人)惚れた相手のため身を引く二人の愛【前編】

大河『べらぼう』二度目の「おさらばえ」…瀬川(小芝風花)と鳥山検校(市原隼人)惚れた相手のため身を引く二人の愛【前編】:2ページ目

やっと心が近づいた夜に逮捕されてしまう検校と瀬川

1778年(安永7年)幕府は検校らの悪事を大規模に摘発。鳥山検校も例外ではありません。

せっかく、瀬以が今までの取り繕った表情をかなぐり捨て、本気で「蔦重との不義密通などしていない」、けれども「蔦重は自分にとって『光』」であること、「蔦重の存在が吉原に売られたという事実の中でたったひとつの『いいこと』だった」ことを、本音で検校にぶつけたというのに。

そんな検校にとっても、瀬川は初めて会ったときから自分の抱える暗闇に「光」を照らしてくれた存在。瀬川のほとばしるような感情は、自分と同じ想いを抱えているのだと気が付き、感無量になったようでした。

けれどもその夜、鳥山検校も瀬以も捕縛されてしまいます。鳥山検校の取り調べが終わるまで釈放された瀬川は、妓楼・松葉屋の寮に預かりの身になります。そんな瀬川に、蔦重は一冊の本を渡しました。

それは『契情買虎之巻(けいせいかいとらのまき)』でした。

瀬川が検校に身請けされてから3年後、江戸時代後期の安永7年(1778年)の発刊で、江戸時代中期に活躍した戯作者・田螺金魚(たにし きんぎょ)※によって著された洒落本です。

江戸中の話題をさらった「五代目花魁・瀬川を鳥山検校が莫大な大金で身請けした」事件をもとにした悲恋話で、当時は江戸っ子の間で大いに話題になった人情話の祖となった本です。

※田螺金魚:医師・鈴木位庵と同一人物説がある

3ページ目 瀬川の身請け事件を元に書かれた人情本『契情買虎之巻』

 

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