痛烈批判あれば大絶賛も…紫式部は、清少納言・和泉式部・赤染衛門をどう評価したのか?【後編】:2ページ目
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赤染衛門に対する評価
次に、紫式部が評価した女性で有名なのが赤染衛門です。
赤染衛門もまた女房の一人で、貞元元(976)年に第38代宇多天皇の孫・源雅信邸に出仕し、長女・倫子に仕えたベテランです。
源倫子に仕えた女流歌人「赤染衛門」(演: 凰稀かなめ)、和歌の才能は百人一首にも選ばれるほど【光る君へ】
2024年の大河ドラマ『光る君へ』。まだ放送が開始されたばかりではありますが、すでに物語のカギとなりそうなものとして登場しているのが、「和歌」ではないでしょうか。当然、電話もメールもなかったよ…
倫子が藤原道長に嫁ぐと、その長女・彰子の女房となりました。紫式部の先輩にあたるわけです。
式部は、そんな先輩について、
ことにやむごとなきほどならねど、まことにゆゑゆゑしく、歌詠みとてよろづのことにつけて詠み散らさねと、聞こえたるかぎりは、はかなき折節のことも、それこそ恥づかしき口つきにはべれ。
(特別な権威とは評価されていませんが、いかにも風格があり、歌人だからといっていろいろな場面で詠み散らかすこともなく、世に知られているものはみな、何気ない時節の歌にしても、私が恥ずかしくなるような詠みぶりです)
と絶賛しています。
彼女が評価した通り、赤染衛門は勅撰集に70首以上が選ばれ、歌集を残すほどの優れた歌人でもありました。
また彼女は、夫・大江匡衡と、息子・挙周らを献身的に支えた良妻賢母としても知られます。その一方で、結婚前に恋人関係にあった匡衡の従兄弟・為基とも歌のやりとりを続けてもいました。
和泉式部といい赤染衛門といい、当時の女房たちの間には、男女関係についてはある種の大らかさのようなものがあったのでしょう。
紫式部や、【前編】で紹介した清少納言もまた、そうした男女関係と決して無縁ではいられませんでした。そうした空気感の中で、女性たちによる「平安文学」は生み出されていったのです。
参考資料:
歴史探求楽会・編『源氏物語と紫式部 ドラマが10倍楽しくなる本』(プレジデント社・2023年)
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