すっ飛んだ2年間を補足、清少納言・爆誕!伊周と道長の弓競の実際…大河ドラマ「光る君へ」4月14日放送振り返り:4ページ目
よせばいいのに……藤原伊周と藤原道長の弓競
さて、今回のハイライトであった、伊周と道長の弓競(ゆみくらべ)。
自分から喧嘩をふっかけておいて、見事返り討ちにされてしまいました。
劇中では、仕方なく受けて立った形の道長。しかし平安時代の歴史物語『大鏡』を読んでみると、実際は真逆だったようです。
……帥殿(伊周)の南の院にて、人々集めて弓あそばしゝに、この殿(道長)渡らせ給へれば、思ひかけずあやしと中ノ関白殿(道隆)おぼし驚きて、いみじう饗応し申させ給ひて、下臈におはしませど、さきに立て奉りて、まづ射させ奉り給ひけるに、帥ノ殿の矢かず、今ふたつおとり給ひぬ。中ノ関白殿、又御前に候ふ人々も、「今二度のべさせ給へ」と申して、のべさせ給へりけるに、安からずおぼしなりて、道長「さらばのべさせ給へ」と仰せられて、又射させ給ふとて、仰せらるゝやう、「道長が家より御門后立ち給ふべきものならば、この矢あたれ」と仰せらるゝに、おなじものゝ中心には当るものか。次に帥殿射たまふに、いみじう臆し給ひて、御手もわなゝくけにや。的のあたり近くだによらず、無辺世界を射給へるに、関白殿(道隆)色青くなりぬ。又入道殿(道長)射させ給ふとて、道長「摂政関白すべきものならばこの矢当れ」とおほせらるゝに、はじめとおなじやうに、的の破(わ)るゝばかり射させ給ひつ。饗応しもてはやし聞えさせたまへる興もさめて、ことにがくなりぬ。父おとゞ(道隆)、帥殿に、「なにか射る。な射そゝゝゝ」と制せさせ給ひて、ことさめにけり。入道殿矢もどして、やがて出でさせ給ひぬ。……
※『大鏡』太政大臣道長
「道長が家より御門后立ち給ふべきものならば、この矢あたれ」
「摂政関白すべきものならばこの矢当れ」
劇中では「我、関白に……」のところで兄・道隆より遮られていますが、『大鏡』だと摂政関白の願いを言い切っています。
実は道長は関白になったことはありませんが、摂政を勤めているので願いごとを叶えたのですね。
この出来事が、それぞれの未来を暗示することとなったのでした。
第16回放送「華の影」
さて、河原に累々と転がっていた亡骸たち。疫病の蔓延をもって第15回放送「おごれる者たち」は幕を下ろします。
次週の第16回放送は「華の影」。栄華を極める藤原氏の陰で、疫病に苦しむ庶民たちの姿が描かれることでしょう。
また、清少納言の簾(すだれ)エピソードが演じられるようです。定子と清少納言の熱愛ぶりも、見どころとなりそうです。
おごれる者は久しからず。次週も急展開が予想されるので、楽しみに待っていましょう!
トップ画像:「光る君へ」公式サイトより