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あなたの「枕」は大丈夫?実は”魂が納まる蔵”だった「枕」にまつわる怖いお話【前編】

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枕にまつわる不思議で怖い言い伝え

日本各地には枕にまつわる不思議な話、怖い話が多数伝わっています。

1.枕はその人の魂が宿る

たとえば、「枕を踏むと頭痛持ちになる」という言い伝えがあります。

眠っている間に、魂は体から抜け出し枕に宿ると考えられていました。
そのため、枕を踏んだり粗末に扱ったりすると、魂が揺れ動き頭痛に悩まされるようになるというものです。

枕はその人の魂が宿る「魂蔵」なので、漁村では船が遭難して漁に出た人々の遺体が発見できなかったときは、葬儀で亡くなった人が愛用していた枕を埋葬するという風習もありました。

また、眠っている間に夢を見るのは、「真座」に宿る枕の神様からのお告げという考え方も。
粗末に扱うと、その枕の神様が妖怪になってしまい「枕小僧」「枕返し」に豹変してしまうという言い伝えもあります。

2.「枕小僧」「枕返し」とは

枕小僧・枕返しなどと呼ばれる妖怪の話は、日本各地に残されています。

多くは子どもや坊主の姿をしていて、夜中に枕元にやってきては枕をひっくり返すという迷惑行為をする厄介者です。また、宿の部屋で死んだ人間の霊が、夜になると「枕返し」になって悪さを働く話もあります。

枕をひっくり返されると、寝ている間に肉体から抜け出た魂が元に戻れなくなると恐れられていたそうです。

栃木県大田原市・大雄寺には「枕返しの幽霊」と呼ばれている掛け軸があり、脚のない八方睨みの老女が描かれています。それを掛けて寝ると翌朝には枕の位置が変わっているとか。

また、香川県さぬき市・大窪寺では、社務所で寝ていると枕元に枕小僧が現れ体の自由が効かなくなるという逸話があり、栃木県・大中寺では、かつてある旅人が本尊に足を向けて寝たところ、朝起きたら頭が逆をむいていたという「枕返しの間」があります。

さらに、岐阜県関市・白山寺には「枕翻観音(まくらがえしかんのん)」がまつられていて、堂内に入ると眠くなってしまうがのですが、眠って夢の中で「枕が返えると願いが叶う」という言い伝えがあるそうです。

ほかにも「枕返し」をされて死んでしまったという逸話もあります。

「枕返しに笑いかけられた途端、そのまま死んでしまった」
「大木を何度も切ろうとした木こりたちがいた。彼らが眠っている時、木の精が現れて般若心経を唱えていた一人だけを残し残り全員、枕を返されて息絶えていた」

など、怖い伝承は日本各地にいろいろ。枕とは、実に不思議な力を持つ道具だったことが分かります。

【後編】では、東京・浅草の観音菩薩にまつわる、石枕を使った鬼婆の凶行伝説についてご紹介しましょう。

【後編】の記事はこちら↓

あなたの「枕」は大丈夫?実は”魂が納まる蔵”だった「枕」にまつわる怖いお話【後編】

「枕」はただの寝具ではなく、古くは「魂蔵(たまくら)」「真座(まくら)」と呼ばれ、魂を収める場所、神霊が座る場所として大切に扱わなければならないものでした。【前編】では、「枕を大切にしないと現…

 

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