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日本史の重要キーワード「朝廷」って何?いつ廃止されたの?武家政権との関係史を紐解く

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「朝廷」は明治維新で廃止された

ところで日本史の中で見落とされがちですが、明治維新では幕府だけではなく「朝廷」も廃止されています。

というより、もともと1867(慶応3)年の王政復古の政変が摂政・関白、三大臣、議奏、武家伝奏などの朝廷の政治組織を廃絶するもので、これとあわせて征夷大将軍職も廃止された流れで幕府も廃止となったのです。

明治維新以降は天皇中心の社会がつくられていったので、この点が誤解されやすいのですが、古代から続いていた政治組織としての朝廷はここで潰えているのです。残されたのは儀礼などを行う天皇の私的空間を支える組織だけで、これが今で言う宮内庁です。

明治以降も朝廷という言葉は使われていますが、これは政府という意味です。ちなみに天皇の私的空間という意味では「宮中」「宮廷」という言葉が使われています。

王政復古の大号令というのは、本当に古代の王政を復古するものではありませんでした。正確なコンセプトとしては、神武天皇が初めて国家を治めたのにならって、これから新しい国家をつくっていこう、というものだったのです。

そのように見ると、やはり明治維新というのはそれまでの日本社会・文化を形作っていた要素を徹底的に解体し、それをうまく再構成することで成立したものだったと分かります。そこでは「天皇」でさえもそれまでと同様の立場ではなく、新しい意味を付与された存在だったと言えるでしょう。

おそらくこの「王政復古」があったため、「朝廷」というのが一体何を意味し、いつ消えていったのかが歴史の中ではうやむやになったのではないでしょうか。

日本史の中では、朝廷と幕府は全く役割が違うものとして存在していました。そして時に補完し合い、時に反発し合いながら歴史を形成していたわけですが、結局は明治維新で武家社会と共に消えていったのだと考えると興味深いですね。

参考資料
・佐々木克「幕末の天皇・明治の天皇」(2005年・講談社学術文庫)

 

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