賄賂にトータル3億円!?室町時代、戦国大名・伊達成宗のバラまいた賄賂がケタ違いすぎる
路(みち)を賄(まかな)うと書いて賄賂(ワイロ)……そう、よくニュースなどで話題になる汚職事件とかのアレです。
金品などを提供することによってあれこれ便宜を計ってもらう……文字通り「路を賄う」この行為、現代であれば恥ずべきものとして断罪され、犯人の社会的地位が損なわれてしまいます。
しかし、時代が変われば価値観も違うもので、中世日本において賄賂は恥ずべき行為どころか、むしろステイタスとなっていたようです。
そこで今回は室町時代、奥州の雄として名を馳せた伊達成宗(だて しげむね)の豪快な賄賂エピソードを紹介したいと思います。
バラまいた賄賂の数々
時は文明15年(1483年)、上洛した伊達成宗は時の将軍・足利義政(あしかが よしまさ。第8代)はじめ幕府の主要メンバーに賄賂をバラまきました。
で、その品目は以下の通り。
【将軍・足利義政】
一、太刀1振(※銘:国綱)
一、砂金100両
一、名馬20頭(※鵇毛10頭、栗毛10頭)
※国綱とは鎌倉時代の刀工・粟田口国綱(あわたぐち くにつな)が打った銘刀。
※鵇毛(つきげ)の鵇とは朱鷺(トキ)のことで、朱鷺色(鴇色)であるなら少し黄味がかった淡い桃色ですが、この鵇毛が朱鷺色を指すのか、あるいは月毛(つきげ。クリーム色)の別名なのかは不詳。いずれにしても珍しい毛色なので、高級馬とわかります。
【義政の正室・日野富子】
一、銭10,000疋(びき)
※同情するならカネをくれ……ではありませんが、どんな高価な贈り物より、先立つモノはやはりカネ。
男性陣が太刀だの名馬だのを喜ぶ一方で、家計を管理する女性には現金こそが最適解……とばかりのシンプルさですね。
以下、幹部たちにもじゃんじゃん大盤振舞いです。
【管領・細川政元】
一、太刀一振(銘:国綱)
一、砂金50両
一、名馬10頭(毛は色々、以下同じ)
【政元の後見人・細川政国】
一、太刀一振(※銘:安則)
一、砂金50両
一、名馬5頭
※安則は鎌倉時代の刀工・古一文字安則(こいちもんじ やすのり)が打った銘刀。
【政所執事・伊勢貞宗】
一、太刀一振(銘:不明)
一、砂金20両
一、名馬3頭
……などなど方々へ撒きも撒いたり、トータルで太刀29振、名馬95頭、砂金380両、銭57,000疋(570貫文)にも及んだと言います。
さて、これは現代の貨幣価値でどのくらいになるのでしょうか。