賄賂にトータル3億円!?室町時代、戦国大名・伊達成宗のバラまいた賄賂がケタ違いすぎる:2ページ目
現代の価値で3億円以上!?
まずは現金から。1疋は1/100貫文なので57,000疋で570貫文、1貫文は1,000文なので570貫文は570,000文となります。
(ちょっと計算がややこしくてすみません)
1文が現代の貨幣価値でいくらなのか、については諸説あり、おおむね20~100円とされているようなので、ここでは解りやすく1文≒100円としましょう。
すると実に5,700万円、これだけでも現代なら絶対に税務当局が黙っていないでしょうね。
続いて砂金。1両は5匁(もんめ)、1匁は約3.75グラムなので、1両はその5倍の約18.75グラム。これを380倍した380両は、金7.125キログラムとなります。
金の価格を調べてみたら、グラム当たり約7,100円。それが7.125キログラムなので7,100×7,125=50,587,500円、現金と合わせて1億円を突破してしまいました。
そして刀剣は一振りごとに価格は異なるものの、銘があるものでは10,000疋(約1,000万円)ほどにもなり、相手の身分によって価格差(便宜上500~1,000万円とします)があろうため、平均して750万円とすると、29振で約2億円を突破。
馬は兵卒が乗るレベルのものであれば1貫文(約10万円)ほどだったようですが、贈答品としての名馬であれば刀剣に準ずるものと考え、これまた数千万~億単位になったことでしょう。
以上を合計すると、現金5,000万円+砂金5,000万円+刀剣2億円+名馬でゆうに3億円を超える賄賂がバラまかれたのでした。
終わりに
このケタ違いな賄賂によって、足利将軍家をはじめ京都洛中の人々は「奥州に伊達家あり」と改めて実感、伊達家の方でも中央との結びつきによってその勢力基盤を確固たるものとしたのでした。
幕府の権力は陰っていても、その権威はまだまだ賞味期限を保っていた室町時代。
やがて戦国乱世に突入していく前夜にあって、利用できるものはなりふり構わず利用して路を賄い、生き残りを図ろうとする武士たちの執念を垣間見るようなエピソードですね。
※参考文献:
川戸貴史『戦国大名の経済学』講談社現代新書、2020年6月
桑折町史編纂委員会 編『桑折町史 第5巻 資料編 2 古代・中世・近世史料』桑折町史出版委員会、1987年3月