「お彼岸」の期間はいつからいつまで?「お盆」との違いは知ってる?:2ページ目
「お彼岸」と「お盆」の違いは?
さて、ちょっと引っかかるのが、「お墓参り」という共通点はあるものの「お彼岸」と「お盆」はどう違うのか? という点です。
理解を深めるために、この点をご説明しておきましょう。
いずれも、ご先祖様があの世からこの世へやってきて、それに対してお墓参りでお迎えする点は同じです。
一番の大きな違いはその起源です。
大まかに見てお彼岸は日本独自の行事であるのに対し、お盆はもう少し複雑で、日本独自の祖先崇拝や農耕儀礼に仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)、さらに儒教思想などが交じり合ってできた行事です。
よって、お盆とお彼岸は作法が全く違います。お彼岸は決まった作法はないのに対し、お盆はご存じの通り迎え火を焚いてお経をあげ、お供え物を用意して、送り火を焚いて、さらに提灯を下げたりキュウリとナスを動物に見立てたものを飾ったり……などなど、やることがいっぱいあります(今はそこまで厳密にやる家も少ないかも知れませんが)。
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ただしお彼岸にはひとつだけ、「しきたり」のようなものがあります。
あの世からやってくるご先祖様、つまり仏様をお迎えするのと同時に、自分自身も仏教徒として修業をしなければならないのです。
おそらく、お彼岸の由来などはなんとなく知っていても、このことは知らない人も多いのではないでしょうか。
この修行の内容は「六波羅蜜」と呼ばれるもので、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六つ。長くなるので詳細は省略しますが、あの世とこの世である彼岸と此岸がもっとも通じやすくなる時期にこの六つを実践することで、その人は極楽浄土に近づくといわれています。
こうして見ると、お彼岸というのはつくづく仏教色の強い行事ですね。
私などは、お彼岸にお墓参りに行く習慣もなく、スーパーマーケットで「ぼたもち」「おはぎ」が売られているのを見て、そういえばお彼岸だったな~と思い出すのが関の山です。
ほんの少しでも、文化の背景を振り返るような時間を作りたいものですね。
参考資料
・火田博文『本当は怖い日本のしきたり』(彩図社・2019年)
・六波羅蜜寺「六波羅蜜とは」
・カトトピ「期間や目的が違う? お盆とお彼岸の違いを解説」