葛飾北斎の妖怪からモフモフ化け猫まで!思わずゾクっとする、浮世絵で見る妖怪たち:2ページ目
これなら会ってみたい!月岡芳年の美しすぎる妖怪・妖精たち
36の妖怪や幽霊を描いた月岡芳年の連作浮世絵「新形三十六怪撰」シリーズの一部です。
《小町桜の精》月岡芳年
歌舞伎演目「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」に登場する小町桜の精です。
雪の降り積もる逢坂の関では、不思議と桜の花が咲いています。
関守の関兵衛(せきもりのせきべえ)こと、天下を狙う大伴黒主が、野望の成就祈願の護摩木にと桜の木を切ろうとすると、美しい女性が現れました。
傾城墨染と名乗る女性は小町桜の精で、関兵衛の本性を見破りました。
淡い色合いと儚げな出立ちが美しい作品です。
《二十四孝狐火之図》月岡芳年
歌舞伎演目「本朝廿四孝」に登場する八重垣姫。
婚約者の武田勝頼(武田信玄の長男)の身の危険を察知した姫は、諏訪明神が武田信玄に送った秘蔵の兜に祈願します。
すると諏訪明神の使いの白狐は姫に乗り移り、姫は氷の張る諏訪湖を飛んで渡って勝頼の元へ行きます。
その後、2人は無事に結ばれました。めでたし!
《地獄太夫》月岡芳年
室町時代の実在した遊女・地獄太夫。
山賊に襲われましたが、あまりの美貌のために遊女屋に売られてしまいました。
「現世の不幸は前世の行いの結果」と自ら地獄太夫を名乗り、地蔵菩薩と閻魔大王の描かれた帯をするなど個性的なところもありましたが、才色兼備で風流を嗜み、また仏教の心得もあったそうです。
地獄太夫の元に訪れた一休が「聞きしより見て恐ろしき地獄かな」と詠むと、
「しにくる人のおちざるはなし」と返したと言います。
新形三十六怪撰に含まれてはいるものの、妖怪ではなさそうです。
才色兼備なところや変わった出立ち、生き様が浮世離れしているということでしょうか。