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刀を差すのは禁止!明治時代の「廃刀令」は効力を失わず、実は昭和時代まで続いていた

刀を差すのは禁止!明治時代の「廃刀令」は効力を失わず、実は昭和時代まで続いていた:3ページ目

エピローグ

そして巨星・西郷隆盛が西南戦争に斃れると、不平士族の闘争は自由民権運動へと姿を変え、その武器も刀から言論へと代わっていきます。

明治時代も半ばに差しかかるころには刀を持ち歩く者などすっかり姿を消したものの、廃刀令そのものはまだ生きていました。

廃刀令に限らず、行政の発した法令や布告というものは、一度出たらきちんと「廃止する」と言わない(その旨の法令や布告を出さない)限りずっと有効なのです。

やがて明治・大正時代を過ぎて昭和に入り、大東亜戦争(太平洋戦争)に敗れた翌昭和21年(1946年)6月3日、占領軍は日本人の武装抵抗を阻止するため政府に「鉄砲等所持禁止令(勅令第300号)」を出させます。

これによって一般人が武器を所持することを禁じられたわけですが、言い換えるとそれまでは、刀を手に持って街を歩くことは法的にはOKだったことになります(明らかに不審なので。職務質問は受けそうですが)。

しかし実効性を失っても廃刀令はしばらくそのままにされ、昭和29年(1954年)7月1日に出された「内閣及び総理府関係法令の整理の関する法律(法律第203号)」によって、廃刀令は正式に廃止されたのでした。

終わりに

以上、廃刀令にまつわる歴史を紹介してきましたが、日本人は刀を廃したと言うより、闘争の武器を刀から言論へとレベルアップさせた「卒刀」とも言えるのではないでしょうか。

日本に武士はいなくなってもその精神は武士道として受け継がれ、刀は差さなくなっても天下に道義を訴える言論は、白刃以上に鋭くあることが求められ続けています。

※参考文献:
野口武彦『幕末明治 不平士族ものがたり』草思社、2013年6月
小林よしのり『ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論 第二部 愛国志士、決起ス』小学館、2015年12月

 

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