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脇差は武士の命!戦国大名・伊達政宗が愛用した刀剣「鎬藤四郎」のエピソード

脇差は武士の命!戦国大名・伊達政宗が愛用した刀剣「鎬藤四郎」のエピソード:3ページ目

これだけは譲れぬ!政宗の剣幕

さて、そんな経緯で政宗の所有するところとなった鎬藤四郎ですが、よほどお気に入りだったようで、終生愛蔵したそうです。

秀吉の死後、天下の形勢が徳川家に傾きつつあることをいち早く察知した政宗は、娘の五郎八(いろは)姫を家康の六男・松平忠輝(まつだいら ただてる)に嫁がせたり、徳川家の養女・振(ふり)姫を嫡男・伊達忠宗(ただむね)の嫁に迎えたりなど、両家の交流を深めていきます。

交流をより深めるため数々の贈り物もしましたが、ある時、徳川秀忠(ひでただ。家康の後継者)が伊達家へ遊びに来ることになった際、何を献上するか下見に来た徳川家臣と相談することになりました。

「ふーむ」

今回のお題?は刀だそうで、政宗は自分のコレクションを並べて検分させましたが、家臣らはなかなか「これがよかろう」と言いません。

「当家の銘刀は、ここに揃えた限りですべてにございまするが……」

痺れを切らした政宗が尋ねると、家臣の一人が意地悪く言いました。

「そう言えば、伊達殿は鎬藤四郎の脇差をご愛蔵とか……あれなら上様もお気に召されようかと……」

政宗が脇差を命とも重んじていることを百も承知で「徳川家に取り入りたくば……」と足元を見たのですが、その悪意を覚った政宗は激怒。

「あれは亡き太閤殿下が形見に下さった愛刀、容易く譲っては申し訳が立たぬ!もしこれでなくば受け取らぬと申すなら、こちらもくれてやらぬまでよ!」

権勢を恃みに他人をなぶり、その命まで差し出せと言わんばかりの態度に怒り心頭、政宗に気圧された家臣たちはそれ以上何も言わず、他の無難な刀を選んだということです。

4ページ目 命の「使いどころ」

 

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