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長瀬智也 主演ドラマ「俺の家の話」最終回で、舞われた能「隅田川」の話をわかりやすく解説

長瀬智也 主演ドラマ「俺の家の話」最終回で、舞われた能「隅田川」の話をわかりやすく解説

長瀬智也さんがTOKIOとして最後に主演したドラマ『俺の家の話』ご覧になりましたか?私はもうハマりましたーーー!

その最終回で演じられる能のシーンがありましたが、あの能の意味が分かると、あのシーンの重要性が倍増です。

ということで、今回はその能についてご紹介します。

能「隅田川」

 

能楽作品『隅田川』は室町時代に観世十郎元雅によって作られた作品で、主人公は“狂女”、さらわれた息子“梅王丸”を探して旅しながらやがて気が狂ってしまった母親です。

始まりは隅田川の渡し守が、京都から来た旅の男と話をしながら登場します。

「今日は大念仏(大声で阿弥陀仏を唱える法会)だから大勢人が集まるだろうな」
「それはそうと京都から来たという狂女を見たから少しまとう」

狂女が登場します。子供が行方知らずになったことを嘆いています。

当初、渡し守達は狂女をからかい半分に扱いますが、あまりの狂女の哀れな姿に心打たれ「このような優しい狂女などまずいない。さあ船に乗りなさい」と渡し守は親身になって狂女を船に乗せます。

やがて狂女が“あの対岸の柳の根元で人が集まっているのは何ですか”と訪ねると、渡し守は、あれは大念仏だと答えます。

渡し守は哀れな子供の話を語り始めます。

 

 

京都から人買いにさらわれてきた子供が病気になりあの地に捨てられた。

 

 

里人が子供の死の間際に名前を聞くと“自分は京都は北白河の吉田某の一人息子です。さらわれてここまで連れて来ましたが、もう自分は死ぬでしょう。京都の人も通るだろうこの道の脇にどうか塚を作って、柳を一本植えてくれないでしょうか”

そのような哀れな子供のために、里人たちは塚を作り、柳を植えました。今日がその日から一年目で一周忌の念仏を唱えるために集まっているのだと教えました。

梅若丸と母の再会

狂女はそれこそ我が子“梅若丸”だと気が付きます。渡し守が狂女を塚に案内すると、狂女は“この土を掘り返して息子の姿を見せて下さい”と頼むが、渡し守に諭されます。

やがて念仏が始まり南無阿弥陀仏が寂しく響きわたりはじめました。そこに一瞬、梅若丸が「南無阿弥陀仏」を唱える声が聞こえます。尚も念仏を唱えると、梅若丸が一瞬姿を見せます。

狂女は梅若丸を抱きしめようとしますが、スッと梅若丸は消えてしまいます。

やがて東の空が明るくなりはじめますが、母親の前にあるのは草に覆われた塚に過ぎませんでした。

2ページ目 能・隅田川の後への影響

 

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