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新選組4人相手に死闘を演じ「ぜんざい屋事件」に散った志士・大利鼎吉が詠んだ辞世の心【後編】

新選組4人相手に死闘を演じ「ぜんざい屋事件」に散った志士・大利鼎吉が詠んだ辞世の心【後編】

4人相手に死闘1時間!ぜんざい屋事件で最期を遂げる

「御用改めである!」

「来たか!返り討ちにしてくれるわ!」

谷万太郎率いる新選組4隊士がぜんざい屋へ踏み込んだ時、田中光顕、大橋慎三、池田応輔の3名は外出しており、残っていたのは鼎吉と政右衛門だけでした。

「あれ、石蔵屋殿……おのれ、逃げたか!」

仕方なく1対4という圧倒的不利な状況下で逃げ出すことなく鼎吉は立ち向かいます。

「もう逃げぬ!我が一死をもって後に続く者の奮起を信じる……!」

思えば故郷の土佐から脱藩し、京都では池田屋から逃げ、禁門の変で敗走し……もう逃げたくない、ここが死に場所と思い定めて、悔いの残らぬよう暴れ回ってやろうじゃないか。

もしかしたら、外出から戻って来た同志たちが加勢してくれるかも知れない。そうすれば、敵も疲れていようから形勢逆転の希望が見える。

鼎吉は時間を稼いで粘りに粘り、4人を相手に半刻(約1時間)ばかりも闘い抜きましたが、力尽きてあえない最期を遂げます。

「もはやこれまで……!」

時は元治年(1865年)1月8日、鼎吉24歳のことでした。

外出から戻ろうとしていた3人はぜんざい屋の異変に気づいて大和方面へ逃亡。大坂市中の炎上も大坂城の乗っ取りも未然に防がれましたが、これが世に言う「ぜんざい屋事件」の顛末です。

3ページ目 鼎吉が死の前夜に残した辞世の句

 

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