年に一度だけ!尾形光琳の大作「国宝・燕子花図屏風」が根津美術館で公開中:2ページ目
「高いデザイン性」と言われる理由!呉服屋出身だからできたこと
「デザイン性が高い」と評されるこの作品。確かに、大胆な配色やリズミカルな配置が心地よいです。しかし、それだけではありません。せっかくなのでさらに深掘りしていきましょう。
この作品がデザイン的と言われる理由は、パターン化された花の構図にあります。一つの作品の中に、同じ模様の繰り返しが見られるのです。
赤く囲んだ部分に、パターンの繰り返しを確認できます。これは着物の染織の際に使う、「型紙」の技法を応用して描かれました。
しかし、同じ構図でも筆使い・色合いが微妙に異なるために、独特のリズムが生まれています。
この独自性は、呉服商に生まれた光琳だからこそ考えついたと言えるでしょう。
三色だけでも豪華な理由!使用された画材はどれも最高級品!
実は、この燕子花特別展、毎年違うテーマで開催されています。
今年のテーマは「色彩の誘惑」。
そこで、贅を極めた色づかいにも注目したいと思います。
この作品は、日本・東洋において特別な伝統を有する三色、金・青・緑を使って描かれています。
たったの三色だけですが、どれも超高級画材です。
背景は全て金箔。その数なんと1000枚以上。さらに、花部分の群青はアズライト・葉部分の緑青はマラカイトが使われています。どちらも産出量が少ない鉱石を原料とした、非常に高価な顔料です。
カキツバタの花たちは、どれも真っ直ぐ上を向いて生き生きと描かれています。発色の良い、高級で上質な絵の具を使う機会を得て、作者・尾形光琳の心も高揚していたのではないでしょうか。
庭園ではカキツバタも見られる
なんと、燕子花図屏風特別展が毎年春に開催される理由、それはカキツバタの開花時期に合わせているからです。
根津美術館には庭園もあり、本物のカキツバタも見られます。
開花予測は4月末〜5月上旬。
作品を見た後に庭園を散歩だなんて、なんとも粋ですね。
注意!今年は日時指定予約制!
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、日時指定予約制になっています。
来館の前日までにホームページにて日時指定入場券の購入が必要です。
会期終了直前の、5月11日(火)〜16日(日)の6日間限定で夜間開館(19時まで)もしているのでありがたいですね。
根津美術館特別展「国宝・燕子花図屏風ー色彩の誘惑ー」
- 会期:2021年4月17日(土)〜5月16日(日)
- 会場:根津美術館
- 開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 夜間開館:5月11日(火)〜16日(日)は19時まで(入館は18:30まで)
- 休館日:毎週月曜日※ただし5月3日(月・祝)は開館