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歴史ファンでも意外と知らない?武士の世を語る上で欠かせない「大名」の語源を紹介:2ページ目
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現代に生き続ける大名たち?慣用句あれこれ
以上、大名の語源について見て来ましたが、最後に大名にまつわる慣用句の中から、現代でもよく使われ、面白いものを集めてみました。
大名旅行:豪勢な旅行。
※大名行列の華やかさから、さぞやカネ持ちに違いないというイメージなのでしょうが、実際は浪費によって謀叛の軍資金を貯めさせない搾取の一環でした。
大名下ろし:魚の三枚下ろし。
※猫にやる≒捨ててしまう背骨部分に多く身が残ることから、贅沢な魚の使い方とされています。アラ汁にしようとか、そんな発想はきっとありません。
大名切り:肉などを大雑把に切り分けること。
※お殿様は細かい目方なんて気にしません。欲しけりゃいくらでも持ってけ!とばかりの大盤振る舞いです。
大名買い:相手の言い値で買い物すること。
※お殿様は値切り交渉なんてケチなことはしません。何なら棚の上から下まで、それこそお店まるごと買い取っちゃうかも知れませんね。
大名商売:いわゆる「士族の商法」。
※買っていただくのではなく、売ってやる。その態度こそ、お殿様のお殿様たるゆえんです。たとえ商売がつぶれても、それは家来が悪いのです。
大名行列:権力者と、それに追従する人々。
※ドラマの悪役だけかと思ったら、現実世界でもたまにいます。いつの時代も、自分の権力を誇示したがる者は後を絶ちません。
……などなど。江戸幕府の滅亡によって武士の世が終わり、もう一世紀以上が経った令和の御代にあっても、人々の心にはまだ「お殿様」が君臨しているようです。
数々の慣用句に表現される通り、とかくカネ持ちで威張りんぼうで大雑把だけど、どこかにくめない現代の大名たちは、これからも人々の心に君臨し続け(たが)ることでしょう。
※参考文献:
保立道久『中世の国土高権と天皇・武家』校倉書房、2015年8月
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