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江戸時代の天才発明家「からくり儀右衛門」の傑作・弓曳童子はなぜ矢を一本外すのか?

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小さな矢の1本にまで込められた精髄

実はこの弓曳童子、修復された時に矢も作り直されており、1本だけ調整が上手くいかず、外れるようになってしまったとのこと。

(※1/4のランダムでわざと射方を変える仕組みにはなっていないようです)

細かなパーツなので簡単に作れるだろうにと思いきや、小さいからこそ微妙な加減が必要なようで、矢羽根の一枚々々にいたるまで精巧に作れたのは、やはり「からくり儀右衛門」ならではという事でしょう。

しかし、一本だけ外れるようになったことで、弓曳童子にユーモラスさが加わり、その魅力をかえって高めているようにも思われます。

歴史や文化はただ厳密に記録・継承するばかりではなく、受け継ぐ人の個性が少しづつ加わっていくことによって、より活き活きと血を通わせていくものであることを、弓曳童子は教えてくれているようです。

※参考:
立川昭二『甦えるからくり』NTT出版、1994年1月
河合敦『誰も知らない江戸の奇才』三栄書房、2019年11月
村上和夫『完訳からくり図彙』並木書房、2014年10月

 

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