水戸黄門もお気に入り?羊羹で有名な和菓子の老舗「とらや(虎屋)」5世紀の歴史!
ごく私事で恐縮ながら、餡子(あんこ)のもったりした甘ったるさが苦手なのですが、そんな筆者でも昔から「とらや(虎屋)」の羊羹が好きです。
あのしっとりと甘く、それでいて諄(くど)さのないすっきりとした小豆のコクと後味は、お茶請けはもちろんのこと、贈答品としても多くのファンに喜ばれています(その筈です)。
そんな「とらや」は京都発祥の老舗として5世紀にわたる歴史があり、今回はそれを紹介します。
虎屋の屋号は毘沙門天に由来?信長の父親世代から創業
平成十五2003年に刊行された『虎屋の五世紀』によると、虎屋の創業を奈良時代(8世紀)とする伝承もあるようですが、一般的には戦国時代初期の大永六1526年ごろの創業としています。
大永六1526年と言うと徳川家康(とくがわ いえやす)の父・松平広忠(まつだいら ひろただ)が生まれた年ですから、「織田信長(おだ のぶなが)たちの父親世代」をイメージすると時代をとらえやすいでしょう。そのくらいから京都で和菓子を作り、商いを始めたのが虎屋の発祥みたいです。
ちなみに、虎屋という屋号については命名の根拠が記録されていないものの、日本には棲息していない特別感や、力強い猛獣のイメージ、そして骨や肉が漢方薬として珍重されたことなどから、ある種の大陸ロマンや神秘性を表現したのかも知れません。
また、虎は毘沙門天と非常に深い関りがあり、歴代店主が事あるごとに毘沙門天へ祈願している記録から、毘沙門天に対する信仰から名づけられたとも言われているようです。
そんな虎屋は第107代・後陽成(ごようぜい)天皇が即位された天正十四1586年ごろから、御所の御用を務めたことで名声を高め、今日も皇室御用達として、篤い信頼関係を築き上げています。