屋根より高い鯉のぼり♪…が空を飛んでいる理由は中国の伝説にあった?:2ページ目
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男子の成長、そして成功を願う親心
これが難関を突破して大出世を遂げた状態を意味する慣用句「登龍門(とうりゅうもん。龍門を登る)」の語源であり、近年では成功に必要な難関そのものを差すニュアンスでも使われています。
後世、後漢王朝(ごかん。西暦25年~220年)に仕えた李膺元礼(り よう 字げんれい。生年不詳~西暦169年没)という朝廷の実力者がおり、彼に才能を認められた若い官吏はその後の出世が約束されるほどの影響力があったそうです。
その事から、彼のお眼鏡にかなうハイスペックを備えた凄さを、鯉の滝登りに擬(なぞら)えて登竜門と呼ぶようになりました。
膺以聲名自高 士有被其容接者 名爲登龍門
【意訳】李膺は名声を高め、彼に認められた(容接を被った)者は「登龍門」と呼ばれた。
※『後漢書』李膺伝より。
男の人生は出世してナンボ……そう考えられた時代、ウチの息子も元気よく成長し、やがては龍になって(成功して)欲しい……そんな親心が鯉のぼりに込められているようです。
♪百瀬(ももせ)の滝を 登りなば
忽(たちま)ち 竜になりぬべき
わが身に似よや 男子(をのこご)と
空に踊るや 鯉のぼり……♪※文部省唱歌「鯉のぼり(作曲:弘田龍太郎)」三番
※参考文献:
吉川忠夫 訓注『後漢書 第八冊 列伝六(巻五十四~巻六十五)』岩波書店、平成十六2004年
文部省『尋常小学唱歌 第五学年用』国定教科書共同販売所、大正二1913年
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