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「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉知ってる?鈴木春信の浮世絵に見る江戸時代の梅の花

「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉知ってる?鈴木春信の浮世絵に見る江戸時代の梅の花:2ページ目

夜の梅

「探梅」という言葉があります。私は“ふっと梅の香りがして、その香りを頼りに梅の花を探すこと”と教えてもらったのですが、調べてみると「探梅」は冬の季語で意味は“まだ冬の景色が色濃く残る山中に、早咲きの梅を探しに出かけること”とありました。

上掲の『夜の梅』の少女は梅の香りに誘われて、夜に外出したような風情ですね。暗闇の中に白梅が辺りを照らすようにポッポッと咲いていて、手にした燭台も少女や白梅を照らし出すようです。

 

しかし、この少女の足元が見えるでしょうか?よく見ると草履を履いていません。この足元は“空摺”という方法で、版木に紙を押し当てて凹凸で形を表現したものです。

そして片手で長い着物を汚れないようにたくし上げています。

この少女は外へ外出したのではなく、梅の香りに誘われたのか、自分の住む家の欄干のついた広い縁に出て、梅の花を眺めているのです。これは筆者が聞いた「探梅」の意味に近いのではないでしょうか。

それとも夜の方が梅の香りを強く感じることを知って梅を愛でているのでしょうか。

3ページ目 江戸時代の梅事情

 

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