吉原はどんな場所だったの?江戸時代の見取り図や浮世絵で吉原遊廓をご案内:3ページ目
大門をくぐるとすぐ左右に妓楼があり、格子張りの張り見世にきれいな女郎たちが並んでいると勘違いしやすいですが、そうではなく、それぞれお目当ての丁目の木戸門をくぐって初めて左右に張り見世が並んでいて、客たちは女郎の品定めをして歩いたわけです。
歌川国貞「江戸 新吉原 八朔 白無垢の図」ボストン美術館
上の浮世絵も、大門から見た風景ではなく江戸町一丁目の木戸門からその奥を見た景色を描きだしたものです。奥には女郎屋の赤い格子が見えますね。
大門を入ってまっすぐの大通り・仲之町の両サイドには「引手茶屋(ひきてぢゃや)」がずらりと並びました。
引手茶屋は、上級女郎を買う場合、その女郎の住む妓楼に向かう前に必ず通さなければならない茶屋です。高級な妓楼でない場合は直接行っても大丈夫でしたが、格式のある妓楼では、いきなり見世に揚がると吉原での遊びを分かっていない無粋者と思われてしまったのです。よく言う花魁道中とは、花魁が自分の住む妓楼から引手茶屋までの道のりを言います。
楊斎延一「新吉原全盛の賑ひ」出典元:JAODB
引手茶屋では仲介料や料理・酒代に加え、場を盛り上げてくれる芸者衆や幇間への祝儀(チップ)も弾まなければなりません。花魁が道中して来たら来たで、ぞろぞろと若い衆(吉原で働く男性)や自分の世話する妹女郎たちを連れてきます。その分の祝儀なども考えればいかに金がかかったかが容易に想像できるでしょう。
さあ、今から花魁とドキドキの初対面。随分と緊張されているようですが、ゆっくり楽しんでくださいね!
文・十返舎一九/画・歌麿「 青樓繪抄年中行事 初会の図」国立国会図書館蔵
アイキャッチ画像:図・江戸末期新吉原見取り図(彩色、文字加筆:筆者)Wikipedia