時代と共に変化。「いろはかるた」は江戸・京・大阪とで内容が異なる3種類:2ページ目
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時代と共に変化も
そんないろはかるたですが、時代の流れとともに、一部のことわざが差し替えられるなどの変化が起きています。
筆者所蔵の「江戸いろは」の場合、「月夜に釜を抜く」「惣領の甚六」「屁をひって尻つぼめ」などのことわざが採用されていますが、これらは「表現が難解、もしくは死語となっている」または「下品な表現が含まれる」などの理由で、「月とすっぽん」「損して得取れ」「下手の長談義」などに差し替えられています。
また「良薬は口に苦し」は、元々は「れうやく」という慣用仮名遣いの表記に基づき「れ」の札とされていましたが、後年に現代仮名遣いに基づいて「りょうやく」と読まれることとなり、「り」の札とされることになりました。そのため、元々「り」の札だった「律義者の子だくさん」があぶれてしまった、という事件が起きました。
このような変更については賛否両論があるとのことですが、「もののあはれ」「風流」の象徴と言われる和歌も、そのイメージが出来上がったのは『古今和歌集』辺りからで、例えば『万葉集』にはそれこそ「屁」どころではない、かなり下品な言葉や表現を使った歌も堂々と採用され、現代までそのまま伝わってきています。
伝統は「文化」として、できるだけ末永く生き続けさせていって欲しいものです。
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