
全文読まなきゃ勿体ない!伝説の海軍参謀・秋山真之の文才が光る「聯合艦隊解散之辞」の現代語訳を紹介【坂の上の雲】:4ページ目
「聯合艦隊解散之辞」用語解説
- 至尊ノ靈徳(しそんのれいとく):天皇陛下の御威光。
- 豈(あに):どうして~だろうか。
- 偸安(とうあん):目先の快楽をむさぼること。
- 沙上ノ樓閣(さじょうのろうかく):砂上の楼閣。
- 神功皇后(じんぐうこうごう):三韓征伐で有名な応神天皇の母。
- 米艦數隻(べいかんすうせき):ペルリによる黒船来航。
- 覬覦(きゆ):分不相応な野望。侵略の企み。
- ナイル:英国海軍のネルソン提督がフランス海軍を撃破した海戦。
- トラファルガー:同じく。
- 泰山(たいざん):中国大陸の聖山。その威容から安定感を象徴する。
- 殷鑑(いんかん):殷王朝が滅亡した故事、歴史の教訓。
- 聖諭(せいゆ):聖なるお言葉。天皇陛下の詔(みことのり)。
- 奉體(ほうたい):深く承って心身に銘じること。
- 孜々(しし):たゆまぬ様子。
- 神明(しんめい):至高の存在。天照大御神(あまてらすおおみかみ)。
- 戰ハヅシテ既ニ勝テル者:『孫子』謀攻編より。
なかなか現代では馴染みの薄い、堅苦しい言葉がビッシリと並んでいますね。
見るからに読みにくそうで、つい敬遠してしまうのも解らなくはありません。
しかし読んでみると、明治日本人の気高さと品性に少しでも触れられるようで、えも言われず気分が高揚するものです。
なので、よかったら少しでも読んでみるのも一興でしょう。
終わりに
今回は秋山真之が起草した「聯合艦隊解散之辞」を紹介させていただきました。
天の神は平和に甘んじ、貪る者からこれを奪う。平和と独立は決してタダではないことを、現代の私たちに訴えているようです。
明治人の品格と誇り、そして平和を求め続けた闘いを偲ばせる名文として、末永く伝えられていくことでしょう。
※参考文献:
- 半藤一利ら『日本海海戦かく勝てり』PHP研究所、2004年3月