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大河『べらぼう』で花魁・花の井が実在した「五代目 瀬川」を襲名!美しく男前…その魅力に迫る【後編】

大河『べらぼう』で花魁・花の井が実在した「五代目 瀬川」を襲名!美しく男前…その魅力に迫る【後編】

【前編】では、ドラマ7話「好機到来『籬(まがき)の花』」で、蔦屋重三郎(横浜流星)が作った「吉原再見」をヒットさせるために、花の井(小芝風花)が妓楼・松葉屋で代々続いていた「瀬川」の名前を継ぐことに決めたところまでご紹介しました。

大河『べらぼう』実在した花魁「花の井」が五代目「瀬川」を襲名!美しく男前…その魅力に迫る【前編】

2025年大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」で、圧倒的な存在感を放ち人気を集めているのが吉原屈指の名妓と名高い「花の井」(小芝風花)こと「瀬川」です。瀬川は江戸時代中期に実在した花魁とし…

聡明で頭の回転が速く、ポジティブできっぷのいい江戸っ子の花の井は、蔦重がお江戸の名プロデューサーとして駆け上がっていくサポートをする重要な人物。

第7話では「男前な花の井」に惚れ直した!カッコ良すぎるなどの声が上がりました。【後編】では、その続きをご紹介します。

花魁の名跡襲名のたびに「吉原細見」が大ヒットするという事実

そもそも「名跡(みょうせき)」というのは、代々継承される芸名や家名のことです。「瀬川」というのは、実際に、新吉原江戸町松葉屋半右衛門(正名僕蔵)かたの遊女で、享保から天明まで9人いました。

ドラマの2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」で、平賀源内が妓楼・松葉屋を訪れたときに平賀源内が「瀬川(という遊女)っていねえの?」と尋ね、女将のいね(水野美紀)が「昔はいたけれども、今は空き名跡なんだよ」と断ったシーンを覚えている人は多いでしょう。ドラマでは松葉屋においては「瀬川」の名前はタブーになっているようでした。

◯◯太夫など有名な花魁の襲名するということは、単純に名前を継ぐというだけではありません。その花魁の名前が持っているイメージ・信用・気風などはもちろん、先代から引き継がれている「顧客」などすべて引き受けることになります。

その名前を継ぐものにとっては、とてつもない重責でしょう。

そのため、新しい世代の遊女が名跡襲名するとなると、吉原の一大トピックスとなったのです。【前編】でもご紹介しましたが、吉原では有名な花魁の名跡襲名のたびに「吉原細見」が大ヒットしたとか。そこで、花の井は蔦重が新たに知恵を絞って作った「吉原細見」を売るために、瀬川の名前を引き継ぐことを決意したのでした。

瀬川という松葉屋の花魁は実在の人物ですが、ドラマでは先代(四代)の瀬川は「まぶと添い遂げたかった花魁は身請けが嫌で自害した」ということになっています。

蔦重が「瀬川の名前は不吉なのに背負っていいのか」と心配するも、花の井は「そんな不吉はわっちの性分じゃ起こりそうもない」と一蹴。蔦重に余計な負担をかけたくないという気遣いでしょう。

「わっちが豪儀な身請けをして、瀬川の名前を幸運の名跡にする」といいます。

「男前だな、おめえ」と感謝する蔦重。まさに、どうせ添い遂げられるわけはないなら、自分の運命をかけても蔦重を助ける花の井は、本当に惚れ惚れするような男前で、かつ深い真摯な愛が感じられて切ない場面です。

2ページ目 実在した伝説の花魁「瀬川」

 

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