室町幕府のダメっぷり…貨幣経済への転換期・室町時代に一揆で標的にされたのは「酒屋」?:2ページ目
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幕府も打つ手なし
また、酒造業者には高利貸しを行う者が多くいました。
そのため、こうした土倉と酒屋が一揆の標的にされることが少なくありませんでした。
室町幕府は、こうして頻発する徳政一揆を抑えることができず、仕方なくなし崩し的に徳政令を出すこともあったようです。
しかし、民からの信用もなく、財政基盤も弱かった室町幕府にとって、土倉と酒屋からの税収は貴重な収入源であり、むやみに徳政令を頻発することはできませんでした。
また土倉や酒屋は、金を貸すさい、借用書に徳政令不適用の文言を入れるのが常でした。
つまり、徳政令が出されてもそれは無効であり、借りたお金はきちんと返さなければいけないというルールになっていたのです。
現代の法律なら、お金を借りた人が不利になるようなルールが最初から契約書に書き込まれていると、そのルールは無効とみなされます。よって今ではあり得ない話なのですが、当時はそれがまかりとおっていたわけです。
こうしたところにも、室町幕府のダメっぷりが表れています。自前の貨幣を発行することもできなかった室町幕府は、貨幣経済の進展に有効な対策を打つことができず、人々の暮らしも混乱するばかりだったのです。
画像:photoAC,Wikipedia
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