2025年大河「べらぼう」主人公・蔦屋重三郎が出版界でライバルを駆逐していった決め手とは?:2ページ目
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「分かりやすさ」が決め手に
機を見るに敏な重三郎の本領が発揮されたわけですが、蔦屋版の吉原細見は人気を呼びました。
その理由は主に2つ挙げられるでしょう。1つは他の吉原細見に比べ、分かりやすく見やすい内容だったことです。
吉原の内部を各町ごとに上下に分け、遊女屋の並びを記したスタイルとしました。レイアウトを変更することで使い勝手の良いものとしたのです。
もう1つは丁数(紙の枚数)を約半分に減らす一方で、分かりやすくなるように従来の小型本(15.7㎝×1㎝)から中型本(1㎝×13㎝)にサイズを大きく変更したことでした。
安永5年からは鱗形屋版の出版も再開されましたが、使い勝手の良さや分かりやさから、蔦屋版の吉原細見はシェアを拡大していきます。
天明3年(1783)には蔦屋版の独占状態となり、鱗形屋版は駆逐されていったのでした。
参考資料:『蔦屋重三郎とは何者なのか?』2023年12月号増刊、ABCアーク
画像:photoAC,Wikipedia
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