江戸出版界の風雲児!2025年NHK大河ドラマ『べらぼう』の主人公・蔦屋重三郎は流行の仕掛人だった!:3ページ目
幕府による統制
出版物の増加を受けて、幕府は社会に及ぼす影響力に懸念を示すようになります。そして統制をはかりますが、画期となったのは大岡忠相が町奉行を勤めた享保の改革の時代です。
享保6年(1721)8月、江戸の書物問屋に同業者組合である問屋仲間を結成させ、翌7年11月には出版統制令を発しました。
書物問屋仲間によって、幕府の忌諱に触れる内容(異説を唱える、徳川家について触れるなど)を出版・流通させないよう目論んだのです。
しかし、この段階では地本間屋に問屋仲間の結成を命じることはありませんでした。
そのため、地本問屋が扱う出版物はいわば野放し状態となり、大衆向けの地本の出版は非常に盛んとなったのです。そうしたなか、江戸の出版界に登場したのが蔦屋重三郎だったのでした。
江戸の大衆文化が花開き、一方で出版統制の足音がすぐそこまで迫っていた時代。この二つの時代の波の狭間で、蔦屋重三郎は活躍したのです。
参考資料:『蔦屋重三郎とは何者なのか?』2023年12月号増刊、ABCアーク
画像:photoAC,Wikipedia