いつから「牛」や「馬」は日本に存在していたのか?実は驚くほど古かった!両者の歴史に迫る:3ページ目
弥生時代のウシ飼育
ただ、少なくとも弥生時代に続く古墳時代には、ウシが身近な存在になっていたことは確実です。
たとえば、火山灰に埋もれた遺跡として有名な群馬県の黒井峯遺跡では、六世紀の古墳時代後期の家畜小屋が見つかっています。
黒井峯遺跡は、六世紀の榛名山の噴火で分厚い軽石層に覆われ、集落の全貌が奇跡的に保存されたものです。
ここでの家畜小屋は長方形の切妻屋根で、内部が三~五部屋に間仕切りされ、周囲に溝かくぼ地が設けられていました。
そのくぼ地と周囲の土壌を脂肪酸分析にかけたところ、ウシが飼われていたことが判明したのです。
また、この遺跡は平地式と高床式の建物群が柴垣で囲まれ、その外側に竪穴式住居がありました。集落全体では四~五棟の家畜小屋があったようです。
現代では日本でウマ・ウシを飼育している人はごく限られていますが、実は意外と最近まで、どちらも食用・移動用・物資の運搬や農作業などの目的で飼育している家が多くありました。
そうした習慣ははるか古代から始まっていたのです。
参考資料:歴史の謎研究会『舞台裏から歴史を読む雑学で日本全史』2022年、株式会社青春出版社
画像:Wikipedia