郵便記号はなぜ「〒」なのか?日本独自の象形の理由とは:2ページ目
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彼があれこれ思案していたところ、郵便汽船の旗を思い出します。
横浜港に外国船が入港した際に郵便物を取りに行く船で、「日本郵船」という会社がありましたが、そのマークは白地に赤の二本線。岩崎弥太郎が創始者の「郵便汽船三菱会社」と、三井系国策会社の「共同運輸会社」が合併した会社で、更なる発展を目指して地球を横断するという意気込みが込められたものでした。
中島はそれを見て、日本だから二本という説明を受け、そこに縦棒を加えたら丁度「テイシンショウ」の「テ」になると考えたそうです。
『あの旗を見て、「ありや一体どんな意味だらう」ときいてみると「日本の船でせう、だから赤い線を二本引いて日本サ」とアツサリ言はれて、「ナル程、日本の船だから二本の線を引く、二本は日本か」と感心したことをフツト思い出しまして、それでは二本の線へタテに一本線を引けば片仮名のテになる。日本の逓信これなら一ばんカンタンで分りやすいだらうとカラス口で〒を一つとモ一つローマ字でTを一つ・・・略』
『逓信協会雑誌 1940年1月(377号)中島談より』原文まま
要するに「T」「〒」も逓信省(ていしんしょう)の「テ」の形を表すので丁度云いと考えたようです。この二案を山内局長と一緒に逓信大臣の榎本武揚に見せにいったところ、「〒」の方がいいと言うことで、正式に採用されることになったということです。
また、「T」は国際郵便で料金不足を意味するため、それは避けた方がいいという思惑もあった、と云われています。
ちなみに中島氏は本職は建築技師であり、「旧米沢高等工業学校本館(写真下)」など優美な建築物も後世に残しています。
参考:日本郵船歴史博物館
写真:すべてACフォトより
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