【お寺の雑学】門前によくあるアノ石碑「禁葷酒」いったい何を禁じてるの?:2ページ目
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それでも食べたい?そんなあなたは……
……とは言うものの、禁じられるとそれが欲しくなってしまうのが人間の性(さが)。
酒を般若湯(はんにゃとう。知恵の薬湯)などと称して飲んでいたように、五葷についても、あの手この手で持ち込もうとする手合いもいたのでしょうか。
「山門に入るを許さずというなら、裏の塀から持ち込もうか」
「いや、ここは法然(ほうねん)上人の『百四十五箇条問答』を引き合いにだそう」
一、にら、葱(き)、ひる、ししをくいて、香(こう)失せせ候わずとも、つねに念仏は申し候(そうらう)べきやらん。
答(こたう)。念仏はなににもさわらぬ事にて候。※法然上人『百四十五箇条問答』より
【意訳】
問:ニラやネギ、ノビルや肉(しし)を食って、その口臭が失せない状態であっても、念仏を唱えることに意味はあるでしょうか。
答:はい。念仏にはいかなるものにも妨げられない功徳があります。
……酒をかっ喰らい、肉やネギをむさぼり喰らったその口であっても、ただ南無阿弥陀仏とさえ唱えれば救われる……そういう大らかさが浄土宗の人気を支えたのでしょう。
しかし「禁葷酒」とあるのはたいてい他宗の寺院。修行の邪魔にならぬよう、生臭物の持ち込みなどは控えるようにしたいですね。
※参考文献:
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