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酒で不覚をとるなかれ…江戸時代の武士道バイブル『葉隠』が説く”宴席の心得”を紹介

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大酒にて後れを取りたる人数多なり……

六八 大酒にて後れを取りたる人数多なり。別して残念の事なり。先づ我がたけ分をよく覚え、その上は呑まぬ様にありたきなり。その内にも、時により、酔ひ過す事あり。酒座にては就中気をぬかさず、不図事出来ても間に合ふ様に了簡あるべき事なり。又酒宴は公界ものなり。心得べき事なり。

※『葉隠聞書』巻第一より

【意訳】酒で失態を犯す者は数多く、気をつければ防げるだけに残念なことである。

まず自分の適量をよく知った上で呑み過ぎぬようにしたいものだが、それでも諸事情によって飲み過ぎてしまうことも少なくない。

酒の席では特に気を引き締め、いざ有事が起こっても即座に対処できるよう心掛けておくべきであろう。

そもそも酒宴はプライベートではなく、あくまでフォーマルな場であることを自覚しておけば、とるべき態度が判るはずである。

……まったく酒を呑まないというのも付き合いが悪く、とっつきにくく思われるかも知れませんが、酔っ払っていざ有事に不覚をとってしまっては武士の名折れ。

いっときの快楽など、家名を末代までけがすリスクに比べれば取るに足らぬ……そう心得ていれば、おのずと酒から離れていくことでしょう。

酒は付き合いで最低限、呑み足りないくらいに呑んでおくのが、円満な人間関係と奉公の折り合い。現代の私たちも、そう心がけたいものですね。

※参考文献:

  • 古川哲史ら校訂『葉隠 上』岩波文庫、1940年4月
 

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