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薬師如来、観音菩薩…古代日本では仏像は敵を呪い倒すための”呪具”だった!?

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武器を手に敵を倒す仏像

福島や岩手には、国宝にも指定されている立派な薬師如来があります。これは平安時代の初期に坂上田村麻呂が蝦夷を平定した際に設置されたもので、東北地方にまで大和朝廷の勢力が及んだことを示すモニュメントとしての意味合いがありました。

いわば、占領地に旗を立てたようなものです。このような使い方からも、仏像には「敵を黙らせる」効果が期待されていたことが分かります。あるいはもう少し良心的に解釈すれば、敵である蝦夷を、薬師如来の御利益によって「解放」してあげようということだったのかも知れません。

では観音菩薩はどうかというと、例えば東大寺法華堂(三日月堂)の不空羂索観音は、本当に観音菩薩なのか? と不思議になるほど威厳がある見た目で、厳しい表情や切れ長の目が特徴的です。

 

で、実はこの像は、740(天平12)年に藤原広嗣が起こした反乱を制圧するために作られたとされているのです。

こうした事例からも、仏像には「呪物」としての一面があったことが分かるでしょう。もともと、仏教では悟りを邪魔する存在を魔物と見なしており、これを倒すことを「調伏(ちょうぶく)」「降伏(ごうぶく)」などと呼んでいました。だから、仏像の中には不空羂索観音や明王たちのように武器を持っているものもあるのです。

おそらく大和朝廷は、蝦夷などの反乱分子を、仏教が敵とみなしている魔物に重ね合わせていたのでしょう。

参考資料
宮澤やすみ『仏像の光と闇』水王舎・2019年

 

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