始皇帝の生まれ変わり?神の中の神と讃えられた秦河勝のエピソードを紹介:3ページ目
神の中の神と呼ばれる
「……そなたらもそなたらだ。虫を祀って踊り狂えば富と若さが手に入るなどと愚かなことを考えるでない。汗水流して暮らしを立て、歳を重ねて命をまっとうする生き方こそ人間の真・善・美に他ならんのだ!」
まやかしの神に心を動かされることなく、毅然と社会正義を訴えた秦河勝の姿に、人々はこんな歌を詠んだそうです。
太秦(うずまさ)は 神とも神と 聞こえくる
常世の神を 打ち懲(きた)ますも※『日本書紀』より
【意訳】秦河勝は「神の中の神」と評判である。何せあの常世の神(を広めた大生部多)を打ち懲らしめたのだから……。
たとえアゲハチョウの幼虫でもいいから、何かにすがりたくなる人間の弱さを叱咤した秦河勝。
そんな精神を備えていたからこそ、聖徳太子をよく補佐して古代日本の柱石となったのですが、現代の私たちも見習いたいものですね。
※参考文献:
- 宇治谷孟『日本書紀(下)』講談社学術文庫、1988年8月
- 世阿弥『風姿花伝』岩波文庫、1958年10月