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まぜこぜ模様の染物「紅型」

まぜこぜ模様の染物「紅型」

紅型(びんがた)は沖縄の伝統的な染物です。その起源は大体14~15世紀頃ではないか、と言われています。
その技法はインドやジャワなどの更紗の技法も取り入れられているのではないか、と言われていて、古くからアジアの国々との交易が盛んだった琉球の面影を見ることができます。

そして紅型が面白いのはその技法だけではありません。模様にも独特の雰囲気があります。

松と扇と龍と蝶と・・・・・・

紅型の模様を見てみると、あまり季節感が感じられないという特徴があります。日本の他の地域で作られた染物であれば、四季を感じられるような模様になっていたり、喜びごとに相応しい模様で統一されていたりするのですが、紅型の場合にはそういった統一感がありません。

それこそ梅と雪の模様が一緒に描かれていて、そこに龍まで登場してしまう。そんなまぜこぜ感が紅型の模様の特徴です。

このまぜこぜ感の理由の1つに、沖縄は四季が本州ほどはっきりと区切られていないということがあげられます。温帯というよりは亜熱帯の気候に近いため、四季という感覚があまりなかったことによるという見方です。

そしてもう1つの理由に、琉球王国の外交のスタンスのなごりがあげられます。
琉球王国は歴史上、交易の拠点として様々な国と関係をもったり時には狙われたりしていました。
中国と日本もそんな国々の1つです。
どちらか片方とだけ仲良くしていたら、もう一方から攻撃されるのは必至。そんな状況の中で、両者ともうまく付き合う姿勢を維持しようというスタンスが、染めの模様の中にも表れているようなのです。
龍は中国から、雪や扇などは日本から、それぞれ伝わった模様ではないかと言われています。

そう言われて紅型を見てみると、確かにたくさんの模様が描かれています。
紅型を目にする機会があった時には、何が描かれている模様なのか、じっくりと観察してみるのも面白そうですね。

 

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