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地獄、死霊…。ホントはちょっと怖い「お盆」や「盆踊り」の起源を探る

地獄、死霊…。ホントはちょっと怖い「お盆」や「盆踊り」の起源を探る:3ページ目

「盆踊り」の起源も実は…

ちなみに、目連によって餓鬼道から救われた母親は、歓喜の踊りを踊りながら天に上っていったとされています。これが「盆踊り」の起源です。

そう、私たちにとってお馴染みの「盆踊り」は、もともとは死者の踊りなのです。

古い有名な映画で『死霊の盆踊り』というのがありますが、あのタイトルは正鵠を射たものだったんですね。

盆踊りは、今では楽しく和やかなイベントですが、地域によってはその原型とも思われる行事が残っています。福島県いわき市を中心に行われる「じゃんがら念仏踊り」です。

これは、一年以内に亡くなった人がいる家などを巡りながら、鉦や太鼓の音とともに祈りの念仏を唱え、踊るというものです。

このように見ていくと、夏――特にお盆の季節は「霊」のシーズンでもあることが分かりますね。

幽霊の目撃情報や、心霊現象に遭遇したという話が多いのも夏です。肝試しの定番の季節も夏ですね。これらは全て、地上にたくさんの霊がいて私たちの霊感もそれにあわせて研ぎ澄まされているからなのかも知れません。

とはいえ、そうした霊たちに対する人間の想いもさまざまです。

「送り盆」では、ご先祖様の魂をあの世に返すために送り火を焚きます。そして地域によっては、先に挙げた「精霊馬」を「早馬」に見立てることもあるそうで、案外そこには「お盆が終わったら早く帰って欲しい」という気持ちも込められているのかも知れません。

地域によっては、精霊馬をお盆のうちに食べてしまうと霊と一緒にあの世に連れていかれるという伝承もあるとか。

ご先祖様の霊を敬い、地獄から救い、一緒に喜びの踊りを踊っても、やっぱりあの世とこの世には画然たる境界線があるんですね。

参考資料
・火田博文『本当は怖い日本のしきたり』(彩図社・2019年)
浄土宗「主な行事・法要 ~ 盂蘭盆会」
東北の観光・旅行情報サイト「旅東北」じゃんがら念仏踊

 

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