いよいよ公開する映画「HOKUSAI」に備えて!葛飾北斎、喜多川歌麿、写楽の代表作を紹介:2ページ目
喜多川歌麿(絵師)浮世絵美人画の第一人者
きたがわうたまろ、1753〜1806
喜多川歌麿は北斎と同じ、浮世絵の全盛期に活躍した美人画絵師です。
女性の色香、官能、女心の繊細な描写などの表現が秀逸で、浮世絵美人画の第一人者として名を馳せました。
代表作の一つ「歌撰恋之部 物思恋」では、どことなく何かを見つめるアンニュイな表情、少し曲げた小指の先から滲み出る艶っぽさを感じられます。
また驚くことに、この絵には眉毛がありません。当時の女性には結婚や出産を機に眉を落とす習慣があったためなのですが、それがかえって不思議なバランスとなり、絵を見る私たちを惹きつけています。
女性の魅力を引き出すことに意欲を注いだ歌麿は、似顔絵の表現にも特徴があります。こちらは寛政三美人(または当時三美人)です。
歌麿にとって女性を描くとは、悪いところも含めてただ似せれば良いのではなく、魅力を引き出すことにありました。したがって、歌麿の思う美しさの表現が根幹にあり、その上に個性を追加する表現となりました。
そのためこの絵では、違いはわずかではあるけれど、三人それぞれの顔つき、表情をしています。
また、優艶な美しさだけでなく、かわいいあどけない女性も描いています。
こちらも有名な「ポッピンを吹く女」。
赤い市松模様に桜の花柄の振袖と、背景のキラキラした雲母擦り(きらずり・うんもずり)が印象的です。
ポッピンとはガラス細工で、底の部分が非常に薄く、息を吹き込むとそこが膨らんで「ポッ」抜くとへこんで「ピン」と音がします。
やわらかな布の質感や、春らしい色使い、あどけない表情でかわいらしさ満開の作品です。
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