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会いたくて…主を慕い都から海をひとっ飛び。樹齢千年「飛び梅伝説」の梅が咲く春が来た 【前編】

会いたくて…主を慕い都から海をひとっ飛び。樹齢千年「飛び梅伝説」の梅が咲く春が来た 【前編】

幼い頃から梅をこよなく愛した道真

平安時代の貴族で、学者・漢詩者・政治家であった道真公。

幼い頃から漢詩や和歌の才能を発揮し、わずか5歳のときに庭に咲く紅梅を見てこのような和歌を詠みました。

『美しや 紅の色なる梅の花 あこが顔にも つけたくぞある』

「あこ(阿呼)」とは、道真公の幼名です。

紅色の梅の花が美しいなあ。自分の顔に付けて飾りたくなるな

……というような意味合いでしょうか。

梅の花に感動する幼い道真公の想いが伝わってくるような可愛らしい和歌でもあります。

そして、11歳の頃にはこのような漢詩を詠みました。

月耀如晴雪
梅花似照星
可憐金鏡転
庭上玉房馨

空に輝く月は、晴れた日の雪のよう。
花咲く梅は照らされる星に似ている。
愛おしいことだ、金の鏡のような月光が転じて、
庭の玉のような花房を
香らせている。

道真公の類稀なる才能と、いかに庭に咲く梅を愛しているかが伝わってくる詩です。

左遷された道真を追いかけ海を飛んだ梅

さまざまな才能に優れ、当時の宇多天皇のお気に入りとなり出世し大活躍をした道真公は、藤原氏の奸計により、京の都から九州の太宰府に左遷されてしまいます。

そんな道真公を幼少期からずっと成長を見守り、愛し愛されてきた庭の梅の木は「主の側にいたい」……という一心で、はるばる海を越えて太宰府まで飛んで行くのです。

「梅の木が飛ぶ?そんなばかな」と思われるでしょうが、その梅は今や福岡県太宰府市にある、太宰府天満宮のご神木として大切に扱われています。

【後編】では、菅原道真公の代表作「東風ふかば 匂ひをこせよ 梅の花……」の詩にまつわる出来事と、「飛び梅」の話をご紹介しましょう。

後編はこちら

 

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