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大軍を率いるのは一苦労!明智光秀の作った軍法がまるで戦国時代版「おかしの約束」

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明智光秀のお約束「兵士への食糧配給や、家臣たちへのノルマなど」

ちなみに「明智光秀家中軍法」とは後世の命名で、本来の書名は「定 条々(さだむ じょうじょう≒決めごと色々)」とあり、全18条のうち第1~6条までが陣中における規律、第7条は兵士の食糧配給について、第8~18条までは家格=石高に対する軍役(兵士や武具などの調達ノルマ)が示されています。

【兵士の食糧配給基準】
原則として、一度の出陣に対して京マスで三斗を光秀から支給する。
遠征の場合は同じく京マスで二斗五升(2.5斗)を支給し、各領主(光秀の家臣たち)から一日あたり八合(0.8升)を支給する。

京マスとは文字通り京都で作ったマスで、地方によって違うマスの大きさを京都基準に統一することで「明智様に従えば、とりあえずこのくらいは貰えるな」と見積もれたことでしょう。

支給された食糧については給料なので、一度に食べる量やとっておく(戦が終わったら、家に持ち帰る)かなどは自分の裁量で決めていたようです。

【家格に対する軍役】
100石以下…兵士6名
101~150石…兜をかぶった者1名、馬1頭、指物1本、槍1本
151~200石…兜をかぶった者1名、馬1頭、指物1本、槍2本
201~300石…兜をかぶった者1名、馬1頭、指物2本、槍2本
301~400石…兜をかぶった者1名、馬1頭、指物3本、槍3本、のぼり旗1本、鉄砲1丁
401~500石…兜をかぶった者1名、馬1頭、指物4本、槍4本、のぼり旗1本、鉄砲1丁
501~600石…兜をかぶった者2名、馬2頭、指物5本、槍5本、のぼり旗1本、鉄砲2丁
601~700石…兜をかぶった者2名、馬2頭、指物6本、槍6本、のぼり旗1本、鉄砲3丁
701~800石…兜をかぶった者3名、馬3頭、指物7本、槍7本、のぼり旗1本、鉄砲3丁
801~999石…兜をかぶった者4名、馬4頭、指物8本、槍8本、のぼり旗1本、鉄砲4丁
1,000石…かぶった者4名、馬5頭、指物10本、槍10本、のぼり旗2本、鉄砲5丁

ちなみに、馬乗(馬に乗れる者)については2名とカウントされましたが、第4条に「進軍に遅れた場合は領地を没収し、場合によっては成敗する」とあるように、インチキな申告がバレた場合は大きなペナルティが課せられたようです。

「こらっ、お前ら!雑談をやめろ!話を聞け!」

「先に取り決めを作っただろう!どうしてお前たちは守らないんだ!」

こういう細かなルールなどから、とかく神経質(よく言えば繊細な)キャラに描かれがちな光秀。

しかし、実際はここまで細かく言わないと守ってくれず、隙あらば規律を乱そうとする雑兵たちのフリーダムさこそ、光秀に厳しい軍法を作らせた一因だったのかも知れませんね。

※参考文献:
盛本昌広『増補新版 戦国合戦の舞台裏 兵士たちの出陣から退陣まで』洋泉社、2016年9月
藤木久志『新版 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り』朝日選書、2005年6月

 

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